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ストレンヂア

ストレンヂア -無皇刃譚- 通常版 [DVD]

ストレンヂア -無皇刃譚- 通常版 [DVD]

CSで放送していたものを視聴。
すっごく良かった。これは劇場のスクリーンで観たかった映画だ。ストーリーはオーソドックスというかパターンを踏襲しているので複雑なものではない。カット割りが巧いのでするりと物語をなぞっていける。そして全てが集まるクライマックスの砦での戦闘がとにかく圧倒的。腕は飛ぶは首は飛ぶは血飛沫は飛びまくりだし人間はグシャっと音を立てて潰れる。ああこれPG-12だったのか・・・そうか・・・そうだよねこれは。いやもうほんと畳み掛けられる壮絶な戦いにビクゥッ!としっぱなしでした。容赦無い。
長瀬の声が予想以上に良かった。最初は ん?下手・・・かも?と思うのだけれど、旅が進むにつれ「名無し」と「長瀬」のキャラクターが溶け合って、名無しの不思議な繊細さと猛々しさが自然と浮かび上がってきてた。ちねん殿の声も良かったよー!そんなに下手じゃないし、所々生意気にツンとしてたり子供らしく名無しを慕ったり、かわいいし凛々しいし良い声でした。棒は棒でもあれは良い棒です。
名無しと異人の一対一の殺陣はとにかくよく動く。私はこのシーンを見ながらSHOCKの殺陣を思い出していた。名無しと異人が、まるでコウイチとヤラのようなの。いや、そう言うとなんだかおかしいか。だけど、アニメと生身という違いがあるのに、生身の人間がアニメのようになんて動いたり跳んだり出来ているはずは無いのに*1、猛烈な既視感に襲われて『あ、SHOCK』って思った。雪の中、跳んで刃を合わせ流し跳びかかり蹴り飛ばし次々と繰り出される刃を受け弾き叩き落し跳び退り間合いを詰め打ち合う。アニメなのに生々しさがある。なんだろう、あの“重さ”を感じる動きは。SHOCKはSHOCKで現実世界での究極の殺陣なんじゃないかと思うのですよ。“動く”という視点に極限まで寄った殺陣。ヤラの身体能力が加わったことで可能になった表現なので、来年以降も観れるかどうかはわからないけれど。アニメなのに“重さ”を感じさせるストレンヂア。生身なのに“動き”を感じさせるSHOCK。それがオーバーラップする理由なのかもしれない。SHOCKの殺陣が好きな人はストレンヂア見てみたらいいと思うし、ストレンヂアのあの殺陣にテンション上がった人にはSHOCK見せたい。どっちもすごいから!
しかしなんでこれがTVシリーズとかそういう脈絡なくオリジナルで劇場公開作品として制作されたのか謎である。そういえば公開当時長瀬とちねん殿とボンズで時代劇、ってことくらいしか知らなかったし見に行く気全く無かったな・・・。評判もさっぱり聞かなかったし、アカデミー賞の長編アニメーション部門にスカイ・クロラと共にノミネートされていたこと*2もなんだかあまり知らないままだった。なんというか、もったいない。時かけとかスカイ・クロラくらい話題になってもよかったような気もするな。公開から2年も経ってこんな感想書いてて申し訳ない。
ラストシーンの演出にグッときます。

*1:その逆で、アニメなのにこんなに動かせるなんてすげええええ!とも思った

*2:ノミネートのみで選出はされず。